生き物調査結果報告

 

NPO法人 小田原食とみどり 田んぼの生きもの調査


記事:株式会社ゼネラル・プレス  原覚俊



調査方法を指導する岩渕成紀氏(右)
 

調査日時:2007年7月14日、8月25日

参加人数:30名
主催:NPO法人小田原食とみどり
参加団体:小田原産直組合、パルシステム神奈川ゆめコープ

調査地:神奈川県小田原市曽我地区
調査項目:生息環境調査、イトミミズ・ユスリカ調査、コドラート調査


ふゆみずたんぼから宇宙が見える。

「たんぼの学校」など農業体験を通して、「パルシステム神奈川ゆめコープ」組合員をはじめ消費者との交流を続ける「NPO法人小田原食とみどり」。今回はNPO法人田んぼの岩渕成紀氏を招いて講演会を開催(7/14)。岩渕氏の「自然を慈しんできたアジアの農のありかた、イトミミズの働き、自然のなかに人の営みが溶け込むネパールの農」などの話に耳を傾けました。
全くの偶然のことに、参加者の中には岩渕氏が20代のころ仙台市の小学校で担任した教え子、高橋道子さん(生協パルシステム職員)がいました。

 

「先生は当時学校の畑でミミズが土を耕すことを教えてくれました。生きものや水を大事にしなさい、というメッセージは、ずっと心のなかに残っています」(高橋さん)。
8月25日には早期湛水の効果か「今年はヒエがあまり出なかった」という田んぼで、イトミミズ・ユスリカ調査が行われました。「農家の方々に『こんな農法もできる』と情報発信を続けていきたいです。趣味と生活をかけた農業はちがうかもしれないですが、情報を発信していくという役割は大きいと思います」と小田原食とみどりの谷知美和子さんは話しています。

 

 





オモダカの花が咲いていた


田んぼの両サイドには、黒米を植えている


■データを読む

●林賢一(田んぼの生きもの調査インストラクター)
山からの冷たい水が水路から田んぼに注がれ、30度近い気温でも水温は25度前後。小さなイトミミズやユスリカの幼虫はヤゴなど、他の生きものに食べられてしまったのか、見つかったのは大きく立派に育ったイトミミズ。この冷たい水とイトミミズたちによって作られたトロトロ層により、田んぼに足を踏み入れると、とても気持ちの良い感じがしました。
イトトンボのヤゴ、マツモムシ、ガムシなどのほか、メダカも田んぼの中に見られ、生きものの豊かさも感じられました。浮草も一面に覆っており、いろんな生きものが見られるので溶存酸素量も多いのだろうと思いましたが、低い数値に驚きました。
土の状態も良いので、今後も「はるみず田んぼ」を続けていただき、春(田植え前後)・夏(草取り)・秋(収穫前)などに生きもの調査を実施し、季節の変化とともに生きもの種類や数の変化、土壌の状態などを見ていただきたいと思います。



NPO法人田んぼ理事長
岩渕成紀氏による講演


7/14は雨の中でしたが、代表者が田んぼに土や草花をサンプリングに行きました


アマガエル

岩渕先生
岩渕氏。7/14は、あいにくの台風通過で、室内で調査法をレクチャーしました

草取りをしながら観察




この辺りのメダカは独特の遺伝系統をもち「小田原メダカ」と呼ばれる


雑草を見つけると反射的にとってしまいます


雑草よけに良いと言われるウキクサが繁茂していました


■参加者を代表して

●齋藤文子氏(パルシステム神奈川ゆめコープ理事長)
小田原で米作りを始めて6年目になりますが、毎年雑草との戦いで収量が上がりません。良い年は1反で8俵、悪い年は5俵ほど。雑草が出なくなる、という今年から始めた「はるみずたんぼ」の効果を早く見たいものです。
たんぼの学校の田んぼは、生きものが豊富で、ホウネンエビやタイコウチがたくさん出るようになりました。NPOでの活動は小さな一歩ではありますが、地域に、そして神奈川県に環境保全型農業を広めたいと思います。