学習会・講演会等の報告 

講演会

2008年6月28日(土)
テーマ「梅栗植えてハワイへ行こう!」の産地のその後

大分県大山町農協についての講演2008年6月28日(土)
会場:梅の里センター
講師:矢羽田雄一郎(大分大山町農業協同組合 外商係長)
参加者:約60名

大山町農協は、傾斜地や狭い耕地という農業にとって不利な条件を、知恵と工夫で克服し、『農家を潤すこと』を経営哲学として、中山間地域農業の活性化を進めてきた地域。昭和36年の「梅栗植えてハワイへ行こう!」のキャッチフレーズのもと始まった村おこしが、現在どのようになっているか、その歩みと共に今回は講演していただきました。

大山町の農家は、貧しさから脱却し生き残るために、梅栗のほか、最大限に土地を生かそうということで、様々な野菜、きのこ、ハーブなどを栽培していき、現在も少量、多品種栽培、高付加価値販売の形になっていきました。
90年には自分たちでつくったものは自分たちで販売するということで、「木の花ガルテン」という農産物直販所をつくり、中間業者を介在せず直接販売できることによって、100円で売られている商品が生産者には20円の手取りだったものが80円の収入になりました。値段は農家自ら決めることになっているのですが、そのことが自然に農家同士で情報を交換するようになったり、観察力や経済観も養われていったそうです。出荷登録者は50名からスタートし、お年寄りばかりでしたが、お小遣いも増えるし楽しいよということで、呼び込みが広がり、現在は3,000名の登録者になったそうです。何曜日、何日にお客さんが多くて、何が多く売れるかを農家に伝えるのが農協の役目、楽しく農業ができるお手伝いができればという思いで販売所を開いているそうです。

また、「優等生教育はしない、劣等生もつくらない」といった理念・思想を大切にし、感性を磨き、農村全体の民度を上げていくために、海外研修や文化的な学習にも力を入れたり、農村と都市の交流を通して、大山ファンの仲間づくりを行っています。
その他、営業取引先への商品説明の時には、必ず大山農業の取り組みや土づくりの話をして、他より1〜2割高い理由をきちんと説明しているとのこと。農協全体で取り組む堆肥づくりの効果がわかるよう、ネギ畑の1/3を他の堆肥、2/3を独自の堆肥を使い、違いを写真で説明できるような工夫も。そして、産地の姿勢、考え、安心を理解してもらった上で買ってもらうようにしているということで、地球生命体や環境にやさしい農業を大切にしている様がうかがえました。

耕作放棄地が全国的に増える中、放棄される田畑はなく、1戸あたり平均4反の所有で農家が潤うまでに至った現在の姿、大山町農協の取組みの素晴らしさ、今後の農業問題を解決する糸口、参考にしたいと思います。

 

学習会

2008年1月19日
田んぼの勉強会「あなたにもできる有機稲作」

稲葉光國先生勉強会2008年1月19日(土)

会場:小田原産直組合会議室
参加者約35名(たんぼの学校豊年倶楽部、その他近隣農家など)
講師:稲葉光國 (NPO民間稲作研究所代表)

昨年からたんぼの学校豊年倶楽部のメンバーにより始めた新たな農法「はるみずたんぼ」が失敗に終わったため、今年こそ成功をさせるべく先生を招いて勉強会を開きました。
はるみずたんぼ&ビオトープの設計から床土、苗づくり、草取り時期、転作などについて様々なアドバイスをいただき、また、圃場診断では、たんぼの状態に沿って実践的な指導をいただきました。今年は雑草を出さずに夏を越したいと思います!

■質疑応答のコーナーで出た話題

Q:じめじめたんぼでも大豆をつくれるか?
⇒やめた方がいい。
Q:収穫の時にわらを裁断してたんぼにばら撒いているが、たんぼが肥沃にならない。
⇒生のままだと分解されず、6月頃に腐敗し発酵する。苗の根腐れになる。生わら600s/米ぬか600kgで発生する。場所によっては、秋のうちに200〜300kg(米ぬか+おから)を投入するといい。グアノは、1反当り2〜3袋。チッソ成分は、餌になる物を入れておいて、微生物が空気中から取り込んでくるように。
Q おいしいお米とは
有機栽培はでんぷんが蓄積されて甘くなり。おいしいお米となっている。チッソ過剰になると虫がつき(カメムシなど)、病気にもなり、おいしいお米でない。
Q 河川周辺のお米や野菜がおいしいわけ
ミネラル分が運ばれている。亜鉛が含まれているのでおいしい。

 

学習会

2007年7月14日
田んぼの生きもの調査勉強会

※8月25日に実地調査を行いました。報告書はこちらをご覧ください。

生いきもの調査2007年7月14日(土)

会場:曽我みのり館
参加者約30名
講師: 
・ 岩渕 成紀 (田んぼの生きもの調査プロジェクト幹事調査研究グループ、NPO法人田んぼ 理事長)
・林賢一 (楓林(ふうりん)環境情報サービス)

7月15日に行われる予定だった「田んぼの生きもの調査」が、台風の接近のため中止となり、急遽、14日は勉強会を開くことになりました。。約1時間半ほど、岩渕先生作成のパワーポイントを写しながら、人類が辿ってきた農のあゆみ、これからの農が大切にしなければならないもの、ふゆみずたんぼの農法についての講義が行われました。
人間が大事か、鳥が大事かという無駄な問いを続けてきた20世紀に終わりを告げ、これからは両方大事だという道を歩んでいこうというのが岩渕先生の教え。
生き物のいのちのつながりを大切にしたこの農法は、雑草を抑え、肥料も少量化でき、環境を良くするだけでなく、真の心の豊かさを思い起こすことにつながるのでしょう。
岩渕先生は、「人類が6000年間も農業を続けてきたが、未だにこれという正解はない。ふゆみずたんぼも何年も続けていたら弊害が出るはず。」と言う。その都度、自然に聞きながら、その時に合った農法を確立していくのが大事なのだということを学びました。

<調査機器を用いての測定>
講義の後、調査器具の使い方を説明していただきながら、はるみずたんぼから取った土や水の数値を実際計ってみた。実際は田んぼで直接計るのだが、今回は大雨のため土のサンプルや水をみのり館まで運び計測したので数値はあくまでも参考値です。

気温:26.9℃
水温:23.2℃
PH:7.8
DO(溶存酸素):5.2
EC(電気伝導度):0.069
酸化還元電位:-240

 

講演会
2007年6月16日
テーマ 「下曽我応援団『ぷらむ』とは何者?」

講演会下曽我プラム2007年6月16日(土)
会場:梅の里センター
講師: 川久保和美氏(下曽我応援団『ぷらむ』)
参加者:約40名

下曽我応援団『ぷらむ』は、小田原市政策総合研究所のリードの元で、地元の問題解決を目的に祭囃子の集まりや商店街の集まりなどから10名で立ち上がった団体。
途中で行政のリードが消えてしまったということですが、地元の問題解決を自分自身の問題として捕らえて、活動をつづけています。
<これまでの主な活動>
1 )下曽我を知ることを目的に、地元の人々のもとに訪問し2時間位をかけて、下曽我地域のこと、遊びなど聞き取り調査をしまとめた。古い地域の写真などの提供もあり、冊子やカレンダー、カルタなどにした。
2 ) 剣沢の環境を整備。市報でボランティアを集め、うっそうとした竹林になっているところの竹を切り出し、少しずつ整備をはじめたところ。

地域での活動のポイントは、人と人とのつながりであり、「隣のよしみ」「近所付き合い」などがこのような地域活動には有効な手立てです。これからもゆっくり地道に「下曽我」にこだわって活動をしていくそうです。

 

学習会

2007年1月13日
自然のしくみを活かした農法「ふゆみずたんぼ」を勉強する

学習会2007年1月13日、14日(土、日)
会場:小田原産直組合会議室及び交流たんぼ他
参加者約40名
講師: NPO法人田んぼ 理事長(元宮城県田尻高校教諭) 岩渕 成紀氏

1.生物多様性と生き物調査の意義
2.生物多様性農法の実践講座
3.はたけの生き物調査の可能性
生物多様性農法である、「冬みず田んぼ」を推奨している岩渕先生をお招きして、冬みず田んぼの農法を学びました。この農法は日本だけでなく、ネパールでのケースも紹介されました。
気候、風土によりふゆみずたんぼが上手く機能する条件は異なりますが、その土地にあう方法を試行錯誤しながらあきらめずに取り組むことが大切。当たり前に先祖から受け継がれずっと実践しているネパールのたんぼでは、有機農法なのに、虫も病気も出ず、丈夫な稲が育っている現状があります。
たんぼや農業は、お金やものではない豊かさをもたらしてくれるのです。

学習会学習会

 

講演会

2006年5月28日

テーマ:地域農産物に期待すること、都市消費者との交流による可能性

2006年5月28日(日)
会場:梅の里センター
講師: NHK解説委員 合瀬 宏毅氏
参加者:約40名

NHK総合テレビ「たべもの新世紀」は日曜早朝6:15からの放送にもかかわらず、7〜8%台の高視聴率番組で、これは3人に1人が見ている割合だそうです。その番組の録画も交えながら身近な話題から「物語」=ストーリー、それと「感動」が重要な要素であることを話しされました。
  まず、豊かさを売る、ということで、来る人が気持ちの満足感を求めていたファミレスが成功し、成功したゆえ進化をやめコスト減に走ったため、人が離れてしまった実例。
白いんげん豆ダイエットでは、「ダイエット」にのみ注目して、豆を生で食してはいけないという常識が忘れられたがための事故の例です。
  おいしいものの話もたくさん出ました。 明宝村のトマトケチャップは、地元のものを無駄なく使うことから年間売り上げ3億に。香川県産キウイは、世界の99%がヘイワード種なのを地域で「香緑」と言う品種を開発しピンポイントで食べごろもお知らせするというもの。千疋屋では1個700〜1,000円
宮崎完熟マンゴーは落下防止網をかけて完熟するまで収穫しないで食べごろを、4000〜5000円するそうですが、最近、鹿児島や沖縄でも同様の商品が出来て若干値下がり傾向だそうです。
キウイとマンゴーは合瀬さんにとって特においしかったものだそうです。(高い!)
 栃木足利の川田昇さんは知的障害者更正施設を建て、そこに接した38度の傾斜地に葡萄を植えカリフォルニアワイン造りの指導者を呼びワインを造ります。非常に丁寧な作業でつくられたここのベリーAのワインはソムリエ田崎氏がサミットに持ち込み絶賛されたとか。1本5,000円が予約で完売するそうです。
北海道の共同学舎も同様の施設で、牛乳を動かさないで作るチーズは絶品だそうです。カマンベールチーズが250グラム1,200〜1,400円程度で販売されています。
この4月から団体登録商標制度が始まり、地域ブランドをつくりやすくなったそうです
いい農産物は地域にあり、景観とも切り離せないもの。小田原の梅なども今後細かく分析してゆくとよいでしょうとのまとめでした。

●過去に行なった学習会等はこちらをご覧ください
http://blog.livedoor.jp/jimukyoku_news/